帰省 ~②
このところ涼しくなってきましたね。
夜になると、私は「ちょっと寒いかも・・・?」と言って長袖を引っ張り出して着たりしているのですが、Hくんは「暑いー暑いー」と言っています。
若さ・・・?でしょうか???
さて、実家に帰省した話の続きです。
過去の記事を読み返してみると、中途半端になっているものばかりで・・・ごめんなさい。
マンションの駐車場を出たときは楽しげだったHくんも、実家が近くなってくると表情が硬くなって来た。
「緊張してきた・・・どうしよ」
「ここまで来たら帰れないわよー」
わざと意地悪く言うと、Hくんは苦笑いしていた。
やがて、実家近くになり母に電話すると、着いたときには母が外で待っていた。
Hくんが車を降りて挨拶すると、母は案の定目を丸くしていた。
きっと私と同い年くらいかそれより上だと思っていたのだろう。
Hくんが車を停めている間に、母は私に言った。
「若く見えるけど・・・何をしている人なの?」
「まだ・・・大学生よ・・・」
「ええっ・・・???」
まだまだ何か言いた気な母は、Hくんが車を降りてくると顔に愛想笑いの表情を浮かべ、「どうぞ、中に入って」と言った。
家に入ってすぐ、Hくんが私に声を掛けた。
「先生・・・」
それを母が聞き逃すはずは無かった。
彼をソファーに案内すると、早速Hくんを質問攻めにした。
彼が何をしているか、お父さんは何をしている人なのか、家族は・・・など、Hくんは嫌な顔もせず一つ一つに答えていた。
お陰で、私が今まで曖昧にしか知らなかったことも知ることが出来たのだけど。
Hくんが出されたお茶も飲めずに居るので、私は母に声を掛けた。
「お母さん、Hくんが困ってるわよ」
「あら・・・ごめんなさい・・・でも、今時の若い人にしては真面目な感じね」
そう言われてHくんは顔を赤くして俯いてしまった。
「もう・・・ますます困ってるじゃないの」
「あら・・・まあゆっくりしてちょうだいね」
母はそういい残し、別の部屋へ消えていった。
「大丈夫?」
「まぁ・・・大丈夫・・・でも先生のお母さんって・・・先生に似てるね」
「どこが?」
「何となく・・・顔って言うのじゃなくて・・・雰囲気とか喋り方とか。先生もあと何年か経ったらあんな感じになるのかな?」
「そうかもね・・・」
「で・・・お父さんは?」
「居ないみたいね」
「そう・・良かった」
「どうせ後で顔を合わすわよ」
「でも・・・一度に来られたら困るよ」
「父はあんな感じじゃないわよ」
「うん・・・」
二人で話をしていると、母が戻ってきた。
「お父さんは夜にならないと帰ってこないみたい」
「そう・・・」
「部屋でのんびりして来たら?」
「そうするわ」
客用の部屋に入ると、Hくんは「疲れたー寝る」と言って、床に寝転がってしまった。
そのうちすうすうと寝息をたてて、本当に寝てしまった。
私はHくんをそこに寝かせたまま、母のいるリビングに向かった。
「あら?Hくんは?」
「寝ちゃったの」
「疲れたのね、かわいそうに」
「お母さんがあれこれ聞くから余計に疲れたのよ」
「だって・・・初めてお会いしたんだから仕方ないでしょ」
「後にすればいいのに」
「それはそうと・・・あの子、もしかして行ってる学校の・・・」
「そうよ」
「問題になったりしないの?」
「もう卒業してるから・・・それに言ってないもの」
「連れてくるって言うから、ちゃんと働いている人かと思ったのに」
「早合点しないでよ」
「でも・・・なかなか良い子ね。今時の若い子にしては珍しいわ」
「あんなもんでしょ。そんな新聞に載るような子ばかりじゃないわよ」
「そりゃそうでしょうけど・・・で、あなた、あの子とどうするつもり?」
「どうするも無いわよ、別に」
「もういい歳なんだから、ちゃんと先のことを考えて頂戴。お父さんが何て言うかしらねぇ・・・」
「あーあー・・・何て言うかしらね・・・どんな顔するのかしら・・・我ながらちょっと不安になってきたわ」
話しているうちに、何となく母がいつもよりも身近に感じられた。
いろいろな事をくどくど言う母が苦手で、これまで家に寄り付かなかったのに、母と普通に会話しているのが何となく不思議に思えた。
そして、夜になり父が帰ってきた。
ごめんなさい。また続きます。
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